”性交痛”に悩む女性について
50代を過ぎたら性交したいと思う女性の数は4人に3人?!
今回は「性交痛外来」をしている麻酔科医の富永喜代先生の記事からの抜粋です。
筆者も50代の半ばになり、あり得ないと思っていましたが「性交はなくても良い気がする」…
そんなふうに思えるようになってきたのです。
ああ、自分にも いよいよ女性ホルモンの低下から気持ちに変化が出始めております。
そんな昨今でありますが、本日、目にした富永先生の記事は奥が深い。
それと同時に、この問題(現象)は更年期世代以降の女性が、女性としての人生を謳歌するのに
知っておいた方が良いお話ではないかと思い、コラムに投稿しました。
こちらに出てくる女性のお話しは、少し極端な例かと思われますが、
世の中には「性にまつわる様々な”お悩み”がある」のだということを改めて考えることとなりました。
女性ホルモン活性委員会の皆さまも、ぜひご一読ください。(YUMIKO.M)
以下、富永喜代先生の記事を抜粋↓
私が開設する性交痛外来には、オンライン診療を通じて、
日本中から男女が診療に訪れます。
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今日、オンライン診療に来たMさんは山形県から受診した
アラフォー女性です。
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『先生、夫は求めるんですが、私はあまりしたくないんです。』
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診断は、性欲低下。
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性欲低下は、確かに女性ホルモン低下に伴う
更年期障害の一つです。
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でも、良く話を聞いてみるとMさんはもともと性交が
好きではないタイプの女性です。
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Mさん本人は、好きではないのだけれど、パートナーのことを想えば、
その期待に応えたいから当院を受診した、という気持ちもよくわかります。
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しかし、元々好きではない人の心を動かすことは難しく、
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心理カウンセラーの助けなど、様々な専門家が
チームを組む必要があります。
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私は、Mさんには『嫌なことは嫌と言ってもいい。挿入にこだわらない
アウターセックスもある。
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女性の50代になれば、積極的に性交をしたいと思わない
女性は4人の内3人。
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だから、したくない、という考えは普通です。
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もし、Mさんが性交したいと思うのなら、まずは、セルフケアで慣れていきましょう。
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次のステップとして、カウンセリングという選択肢、
ダイレーターなどによる自己訓練方法があります。』
とご説明し、
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ご自宅からのアクセスの良い病院をご紹介し、
夫婦でのカウンセリング受診をおすすめしました。
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性交痛(性行痛)にも2タイプあって。
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はじめっから性交が痛くてできないタイプの人、と、
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更年期を境に痛くなってかつてできていたセックスが
できないタイプの人があります。
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最初から痛くてできない、という人には
ワギニスムスの可能性があります。
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未完成婚という言葉をご存知でしょうか?
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婚姻関係にありながら、いまだ一度も挿入を伴う性行為を
したことがない夫婦です。
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未完成婚の原因は、男女にあります。
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女性側では女性器の奇形、腟攣縮、性欲/興奮障害、
感染症や腫瘍など外陰部疼痛を伴う疾患、
閉経関連泌尿生殖器症候群、メンタルケアが必要な性嫌悪など。
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男性側では勃起障害、性欲/興奮障害、感染症
腫瘍など外陰痛を伴う疾患、そして性嫌悪などが挙げられます。
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女性側の問題として一番多いのが、
腟攣縮(Vaginismus;ワギニスムス)です。
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ワギニスムスは、挿入を使用としたり、
挿入をイメージしただけでも、膣が激しく痙攣してしまい、
挿入できない状態になります。
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膣を取り巻く筋肉の不随意痙攣
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(意識的に筋肉に力を入れているのではない、意識ではコントロールできない
反射的な筋肉のけいれん)で起こります。
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女性外来や産婦人科を受診しても、内診台に登れなかったり、
足を開くことができない方も多いです。
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ベッドの上で触診しようとしたら、
太ももの内転筋群が痙攣的にひきつったり、
軽く外性器に触れただけでも痛い、と訴えたりします。
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治療は心理的アプローチとして
認知行動療法を行い、心理カウンセリングを重ねます。
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自己訓練も欠かせません。
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外陰部を自分で触れる訓練、ダイレーターなどで拡張していく訓練、
イメージ訓練など、各段階があります。
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挙児希望の場合には、不妊治療も並行して
始めなければならないので、
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精神科、産婦人科などがチームを組める環境でなければ
満足いく結果が得られにくいでしょう。
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挿入が全てではありません。
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挿入しなくても、
仲のいいカップルはたくさんいます。
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でも、もし、挿入を伴う性交をしたいという
欲求を満たしたいのなら、専門的治療を受けてみるのも
一つの解決策です。
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ワギニスムスは、薬を飲んで治る、
というタイプの疾患ではありません。
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デリケートゾーンセルフケア、ダイレーター自己訓練、
積極的に自分と向き合う訓練、パートナーの協力願いなど、
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自分の体を自分で治す気持ちがとても大切になってくる疾患です。
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ぜひ、専門の医師にご相談ください。
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