年齢を重ねると、「いつまでも若々しくいたい」「身だしなみを整えて、心地よく過ごしたい」と思う一方で、体力や肌、髪、心の変化を感じる場面も増えてきます。以前は当たり前にできていたことに少し時間がかかったり、鏡の中の自分に「こんなはずではなかった」と戸惑ったりすることもあるかもしれません。 けれど、年齢を重ねることは、失うことだけではありません。自分に必要なもの、大切にしたいものが、少しずつ見えてくる時期でもあります。街を歩いていると、姿勢がよく、立ち居振る舞いが美しく、余裕のある表情をした、ひときわ目を引く素敵な大人の女性を見かけることがあります。誰かと会話をしているときの、心からの笑顔も素敵です。「私もこんなふうに年齢を重ねていきたい」そんなふうに思うことがあります。 60代になった私は、最近、「10年後の自分」を具体的に思い描くようになりました。「10年後、私はどんな女性でいたいだろう?」そう考えながら、食事や健康、心の状態に気を配り、スキンケアや皮膚科でのケアを取り入れたり、筋力トレーニングをしたり……。毎日、することがたくさんあります(笑)。では、なぜそこまでしているのでしょうか。それは、健康寿命をできるだけ長く保ちたいからです。これからの人生を元気に、自分の好きなことを楽しみながら、最後まで自分らしく、美しく生きていきたい。私は、そんなふうに考えています。皆さんは、元気に輝き、より美しく生きていくために、日々の暮らしの中で意識していることはありますか?その答えを考えるために、まずは「ウェルネス」という考え方から見ていきましょう。 【ウェルネス、ロンジェビティ、そしてウェルビーイングという生き方】 最近、「ウェルネス」という言葉をよく耳にするようになりました。ウェルネスとは、単に「病気ではない」という状態を指すものではありません。心と身体の健康を意識しながら、よりよく、より自分らしく生きていくために、日々の暮らしや選択を整えていくことです。 つまり、特別なことを一度だけ行うのではなく、毎日の小さな選択を積み重ねながら、自分の人生をよりよい方向へ導いていくことなのだと思います。 そして、近年よく聞かれるようになったのが「ロンジェビティ」という言葉です。ロンジェビティは「長寿」を意味しますが、単に寿命を延ばすことだけを目指すものではありません。大切なのは、”健康で自立して過ごせる期間、いわゆるヘルススパンをできるだけ長く保つことです” 医療や科学の進歩を取り入れながら、老化を科学的に見つめ、より健やかな未来をつくっていくという考え方です。そして、もう一つよく耳にするのが「ウェルビーイング」です。ウェルビーイングとは、心身の健康だけでなく、仕事や人間関係、社会とのつながりなども含め、人生全体が良好な状態にあることを指します。……なかなか高い目標ですよね(笑)。ウェルネスが「日々の行動や積み重ね」だとすれば、ロンジェビティは「健やかな未来」、そしてウェルビーイングは、その先にある自分らしく豊かに生きている状態なのかもしれません。では、そのような人生をつくるために、私たちは日々の中で何を意識すればよいのでしょうか。そのヒントになるのが、ウェルネスを構成する7つの側面です。若々しく、健康に、美しくいるための「7つのウェルネス」心も身体も健やかに、そして自分らしく輝いていくためには、身体だけをケアすればよいというわけではありません。ウェルネスには、次のような7つの側面があるといわれています。 1.身体的ウェルネス健康、運動、睡眠、食事など 2.メンタル・感情的ウェルネス感情との向き合い方、ストレスとの付き合い方など 3.精神的ウェルネス生きがい、価値観、自分にとって大切なものなど 4.社会的ウェルネス家族や友人、仕事仲間など、人とのつながり 5.知的ウェルネス学び、知的好奇心、新しいことへの挑戦 6.職業的ウェルネス仕事のやりがい、成長、社会との関わり 7.環境的ウェルネス暮らしの環境や自然とのつながり こうして考えてみると、「健康」は身体だけの問題ではないことが分かります。よく眠れているか、心に余裕があるか、誰かと笑い合えているか、学びたい気持ちがあるか。そうした一つひとつの状態が重なり合って、私たちの健やかさや美しさをつくっているのです。今回はその中でも、「身体的な健康」と「美」について考えてみたいと思います。なぜなら、健康と美は別々のものではなく、互いに支え合う深い関係にあるからです。 【健康と美は、切っても切り離せない】 健康と美には、深い関わりがあります。心身が健やかだからこそ、「美しくありたい」「おしゃれを楽しみたい」「誰かに会いたい」「どこかへ出かけたい」という気持ちが生まれます。一方で、「きれいになりたい」「自分を大切にしたい」という美への意識が、自分自身をいたわる行動につながり、心身の健康を支えることもあります。髪を整える。肌をケアする。お気に入りの服を着る。メイクをする。すると、少し外へ出てみたくなる。誰かに会いたくなる。そんな経験はありませんか?身だしなみを整えることは、単に人からよく見られるためだけの行為ではありません。「鏡を見る」「自分に触れる」「今日の自分に似合うものを選ぶ」その時間は、自分の状態を確かめ、自分自身を丁寧に扱う時間でもあります。私は、美しくなることには、人を前向きに動かす力があると思っています。そして、その力は、時に生きる力そのものにもなるのではないでしょうか。 【”美”は、生命力になる】 以前、戦時中の防空壕から、ほとんど使い切った口紅や、底が見えるほど使い込まれた白粉が見つかったという話を聞いたことがあります。生きるか死ぬかという極限状態の中でも、女性たちは白粉をつけ、口紅を塗っていた。そのことを想像すると、胸が締めつけられるような思いになります。なぜ、そのような状況でも女性たちは美しくあろうとしたのでしょうか。きっとメイクには、単に「外見を美しくする」という以上の意味があったのではないでしょうか。自分を取り戻す。気持ちを奮い立たせる。「私は私である」と確かめる。そして、明日を生きる力にする。美しく整えることは、どのような状況でも自分らしさを失わないための、小さな抵抗であり、希望だったのかもしれません。だから私は思うのです。美は、生命力ですこのように考えると、大人の美容は、若さを追い求めるためだけのものではありません。今の自分を受け入れ、自分らしく生きる力を育てるものでもあるのです。 【大人のウェルネスビューティーとは?】 では、大人のウェルネスビューティーとは、どのような美しさなのでしょうか。私は、単に流行を追いかけることではないと思っています。自分が心地よくいられるように、身だしなみを整える。周囲への心遣いが感じられるおしゃれを楽しむ。内面から自然ににじみ出るような美しさを育む。そして、凛とした知性を感じさせる姿勢や佇まいを身につける。そのような美しさです。もちろん、心の状態も美容や健康に大きく影響します。疲れているときには表情が曇り、気持ちに余裕があるときには、自然と笑顔が生まれます。だからこそ、外見だけでなく、内面も一緒に整えていきたいと思っています。 私自身が特に意識しているのは、姿勢です。姿勢が整うと、見た目の印象だけでなく、呼吸や気持ちまで変わるように感じます。そして、爪先や毛先、襟元や袖口など、身体や洋服の末端まで清潔に整えることも大切にしています。肌や歯を美しく保つことも欠かせません。内面については、知的好奇心を持ち続けること、新しいことに挑戦すること、感謝できる心の余裕を持つことを意識しています。そして、大切な家族や友人、仕事仲間との関係を育むこと。これらもすべて、私にとってのウェルネスビューティーです。つまり、ウェルネスビューティーとは、外見を整えることから始まり、心や人間関係、日々の生き方にまで広がっていくものなのです。 ・ 【プロのメイクアップアーティストとして、大人の女性に伝えたいこと】 では、日々の美容において、具体的に何を意識すればよいのでしょうか。メイクやヘアは、流行をそのまま取り入れればよいというものではありません。まずは、自分に似合う基本のヘアメイクを知ること。そのうえで、毎年ひとつでもよいので、その年らしさを感じられるアイテムを取り入れてみるのがおすすめです。リップでもよいでしょう。アイシャドウでもよいでしょう。メイクのベースアイテムでも構いません。少しずつ時代のエッセンスを取り入れることで、長年同じメイクを続けている印象を避けることができます。すると、無理に若く見せようとしなくても、自然に洗練され、垢抜けた印象になります。 大切なのは、若さを再現することではなく、今の自分に似合う美しさを更新していくことです。ヘアも同じです。自分に似合うヘアスタイルを美容師さんと相談しながら、毛先の乾燥を防ぎ、艶を保つなど、日々のケアを大切にする。肌や爪、歯などのケアも、清潔感のある印象につながります。そして私は、**「末端のケアは、最高のウェルネス」**だと思っています。爪先、毛先、足元、襟元。身体や装いの末端まで意識が行き届いているということは、自分自身を丁寧に扱っているということです。それは、女性としての美しさを引き立てるだけでなく、「私は自分の人生を、自分で整えている」という自己効力感にもつながっていくのではないでしょうか。まずは今日、爪を整える、髪に艶を与える、姿勢を意識するなど、小さなことから始めてみてください。小さな行動でも、自分を大切にする意識は、少しずつ心と身体に伝わっていきます。 【美しく生きることは、自分の人生を大切にすること】 ウェルネスビューティーは、「若く見せるための美容」ではありません。年齢に抗うことでもありません。今の自分を大切にし、これからの自分をさらに楽しむための生き方です。 10年後、どのような自分でいたいですか? どのような表情で笑っていたいですか? どのような場所で、誰と一緒に過ごしていたいですか? その未来の自分に近づくために、今日からできることは何でしょうか。 身体を整える。心を整える。人とのつながりを大切にする。知的好奇心を持ち続ける。姿勢を正す。身だしなみを整える。そして自分らしく美しくいる。背筋を伸ばして歩く。その一つ一つが、未来の自分を作るウェルネスビューティーです。皆さんも今日から一つだけ、ご自身のために行動を始めてみてください。 「きれいにならなければ」と自分を追い込むのではなく、「私は私を大切にする」と決めること。その意識が表情を変え、姿勢を変え、毎日の選択を変えていきます。いくつになっても、健やかに、生き生きと。そして自分らしく美しく。美しさは特別な誰かだけのものではありません。自分を大切にする小さな行動から始まります。さぁ、まずは鏡の前で背筋を伸ばして、今の自分に笑顔を向ける事から始めてみませんか。 人生のクォリティ・オブ・ライフをこれからも一緒に高めていきましょう。 Write by 株式会社ラムズビューティ 片桐愛未
ウェルネスビューティー意識を高め、健康で輝く毎日を

